趣旨
リース会計とは、企業がリース契約によって資産を利用する場合の会計処理を定めたルールであり、企業の財務状況を適切に表示することを目的としている。
特に近年は、リース取引を通じた資産利用が増加する中で、実質的には資産を使用しているにもかかわらず、貸借対照表に計上されない、いわゆる「オフバランス取引」が存在することが課題とされてきた。このため、リース取引の実態を財務諸表に適切に反映させることが求められている。
背景
従来の会計基準では、リース取引は「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に区分され、前者は資産・負債として計上(オンバランス)、後者は費用処理(オフバランス)とされていた。
しかし、オペレーティング・リースを活用することで、実質的に資産を利用しているにもかかわらず、負債を計上しない処理が可能となり、企業の財務状況が実態よりも良く見えるという問題が指摘されていた。
こうした背景から、国際的にはリース取引の透明性向上を目的として会計基準の見直しが進み、原則としてすべてのリースをオンバランスする方向へと転換が進められている。
出典
IFRSを開示で読み解く(第44回) IFRS第16号の適用から見る日本の新リース基準の財務的な影響 | PwC Japanグループ
詳細
リース会計の国際的な基準としては、2019年に適用されたIFRS第16号が代表的であり、借手に対して原則すべてのリース取引のオンバランス処理を求めている。
具体的には、リース契約に基づいて使用する資産について、
- 使用権資産
- リース負債
を貸借対照表に計上することが必要となる。
これにより、従来オフバランス処理が可能であった取引についても、財務諸表上に負債として認識されることとなり、企業の財務指標(ROA、自己資本比率など)に影響を与える。
日本においても、企業会計基準委員会(ASBJ)において同様の見直しが進められており、国際基準との整合性を踏まえたリース会計基準の改正が検討されている。
具体的には、2027年4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度から、この新リース基準が強制適用となる。
今後の動向
リース会計は、国際的な基準の影響を受けながら、日本においても見直しが進められている。
2019年(参考)
IFRS第16号が適用され、国際的には原則すべてのリースのオンバランス化が開始された。
2027年
4/1より、新リース会計基準の適用が開始される。これにより、リース取引のほぼ全てがオンバランス化される。(ただし、適用対象となる会社は大企業・上場企業であり、中小企業は除外されている。しかし中小企業であっても上場企業の連結子会社である場合や、将来的にIPOを目指している場合は注意が必要である。)
このように、今後はリースを活用した場合でも負債計上が求められる方向にあり、従来の「オフバランスメリット」は縮小していくと考えられる。
設備機械のリペア・メンテナンスへの影響
リース会計の見直しにより、従来はオフバランス処理が可能であったリース取引についても、オンバランス化が進むことで、企業にとってリースの財務的なメリットは相対的に低下する。
この結果、単なる「リースによる資産利用」と、「サービスとしての設備利用(EaaS)」の違いがより重要となる。
EaaSモデルは、設備の所有権をサービス提供者が持ち、利用者は設備の稼働や成果に対して対価を支払う契約形態であるため、契約内容によってはリースとは異なる会計処理が適用される可能性がある。
具体的にEaaSモデルを利用した際の会計処理の方法は明確ではないが、資産・負債の計上を抑制できる可能性や、財務指標への影響を軽減できる可能性、といったメリットが生じ得る。
さらに、EaaSは単なる資産提供ではなく、メンテナンス、運用最適化、性能保証といったサービスを含むため、設備の効率的な利用や長期的なコスト最適化にも寄与する。
したがって、リース会計の厳格化は、EaaSの導入を後押しするものと考えられる。